原爆と女たち(6月30日)
2006年 06月 30日
映画の導入部分は何とも重苦しく、これは見ていてつらそうだ、テレビだったらチャンネルを変えてしまいそうだなあ、でも映像はまさに映画芸術だなあ、などと思いながら、まあがまんしてみていた。主演の岡田茉莉子さんの演技がすごい。歩き方が違う。とか、セザンヌの絵のような写真だなあ。音楽の使い方がいいなあ、などと感心もしていた。そのうちだんだん引き込まれ、ついには涙も流し、感動してしまった。
対談で吉田監督が語っていたのだが、原爆を描けない自分と描いて死にたい自分との中で企画製作した作品なのだそうだ。重要なことは、物語にしないということで、物語を作らずに歴史を見る映像をとのこと。
原爆が投下されてから61年たった今、原爆という歴史の事実を見ることができるようになってきたともいえるのだろう。それまでは田中好子さんの演ずる記憶喪失の女性のように、記憶を捨てなければ生きていけなかった期間だったのかもしれない。
映画がエンタの神様である必要はない。などとも感じたのだ。
それから岡田茉莉子さんが会場で対談を傍聴し、その後小林教授のインタビューに答えていた。駒場キャンパスではこうしたイベントが日常的にある。近所の人が利用しないのはもったいない。